2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

今年の5月のこと

今年は三善晃の生誕90周年、没後10周年ということで多方面で取り上げられているが、この5月に色々と集中したのにはゴールデンウィークがあったとはいえまいった。自身のスケジュールとすれば混声六連から、トウキョウ・カンタート、都響の三部作と3つの演奏…

『風見鳥』(『五つの童画』)

『五つの童画』を聴いて納得したことがない。名だたる合唱団が多くの演奏を残している曲で、CDもそれなりに所持し、何度かは直接演奏会で聴いたこともあるが、歌ってはいるもののどのように聴かせたいのか分からない。この組曲では作曲者の書いた「どの詩に…

『街路灯』終盤あたりの話

『街路灯』について、今年は篠田昌伸の和声分析 三善晃「街路灯」和声分析 - YouTube や、合唱連盟の会報ハーモニーでの鈴木輝昭の分析 ハーモニー過去の内容 No204 2023年 を見ることができている。気ままに眺めているだけの身ではあるが、大変にありがたい…

『地球へのバラード』での『私が歌う理由』

「歌う」ということについて、『私が歌う理由』と『鳥』の対照が成り立つ。 私が歌うわけは/いっぴきの仔猫(『私が歌う理由』) 鳥は歌うことを知っている/そのため鳥は世界に気づかない(『鳥』) また、『沈黙の名』と『鳥』は「名」について語る。 名…

2つのコンサートの解説について

tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com くだらないものを読む羽目になった、というのが、これらのコンサートのパンフレットの印象だった。丘山万里子の解説は、目を通すのも辛いほどのものだった。 「盗んだりんごを妹から隠した」などというしょう…

「鏡の底」と「海の中の暁」

tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com 『詩篇』で扱われた詩の言葉について。「鏡の底」は「Ⅶ はじめとおわりの・鏡の雲」に「きみたたち 鏡の底にいるのか」と現れる。また、「海の中の暁」は「Ⅷ おわりのないおわり・波の墓」で「海の中の暁/暁…

トウキョウ・カンタートでの三善晃の作品の扱いについて

tooth-o.hatenablog.com 経緯や内実は知らないが、トウキョウ・カンタートは早い時期から三善晃との関係が深く、パンフレットを見ると三善晃の作品を集めたコンサートをかなりの回数行っている。亡くなってから行われたものとしては前回2016年、そして今年が…

『詩篇』まで

「弧の墜つるところ」に言うように、死者の仲間であろうとした『レクイエム』が死者の仲間でありえないことを示してしまった。そこから、なお生きている人間として、死者たちへと答えを返さなければならない、となるのは話としては難しくはないだろう。特に…

『レクイエム』とその他のこと

「誰がドブ鼠のように隠れたいか」の言葉を客席に投げつける時の快感について、考えることがある。 「レクィエム」を書き終えたとき、それによって死者たちと終に仲間になれない自分の輪郭を描き終えてしまったことに気付いたことを言いたかったからである。…

2つのコンサートについて

『詩篇』をどのように把握するかが問題なのだろう。 tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com 都響の『詩篇』、「Ⅷ おわりのおわり・波の墓」が「ゆれあっている/ゆられあっている」と歌い出したときのpp(楽譜の指定は未確認)に、少し白けるような…

「反戦」三部作

三善晃の三部作の頭にどのような言葉を付けるか、という話が昔からあるようで、「生と死の」など見かけたことがあるし、『レクイエム』のピアノリダクション版では前書きに「合唱と管弦楽のための三部作」と書いている。 今回の東京都交響楽団の演奏会では「…

東京都交響楽団第975回定期演奏会Aシリーズ 三善晃生誕90年/没後10年記念:反戦三部作

2023年5月12日(金) 19:00開演 東京文化会館大ホール 東京都交響楽団 指揮:山田和樹 混声合唱とオーケストラのための『レクイエム』(1972) 混声合唱とオーケストラのための『詩篇』(1979) 合唱:東京混声合唱団(合唱指揮:キハラ良尚) 武蔵野音楽大…

Tokyo Cantat 2023 やまとうたの血脈XII  地球へのバラード~傷みの泉から祈りの声を~(5)

tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com この演奏会の全体を思い返すと、まずは演奏のレベルの高さが印象に残った。不満も多々書いたが、それもまずは演奏が高水準で成立した上での話であって、その…

Tokyo Cantat 2023 やまとうたの血脈XII  地球へのバラード~傷みの泉から祈りの声を~(4)

tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com 『地球へのバラード』より『私が歌う理由』『沈黙の名』『夕暮』 (Chœur Clarté) コンサートの表題にされた曲集より3曲が、冒頭と休憩後の最初に演奏された。ステージとは別に、2階…

Tokyo Cantat 2023 やまとうたの血脈XII  地球へのバラード~傷みの泉から祈りの声を~(3)

tooth-o.hatenablog.com tooth-o.hatenablog.com 『C₆H』 (チェロ:鈴木皓矢) 丘山万里子による監修の価値は Tokyo Canta に器楽の作品を挟み込んだところにあったと思う。チェロのための作品『C₆H』は以前「未来に伝える三善晃の世界Ⅲ」で聴いたことがあ…

Tokyo Cantat 2023 やまとうたの血脈XII  地球へのバラード~傷みの泉から祈りの声を~(2)

tooth-o.hatenablog.com 『王孫不帰』 (松原混声合唱団男声+早稲田大学コール・フリューゲル 指揮:清水敬一 ピアノ:小田裕之 打楽器:加藤恭子/横田大司) この曲についてはそれだけでも大変なことというのは承知しているのだがそれでも、きっちりと歌…

Tokyo Cantat 2023 やまとうたの血脈XII  地球へのバラード~傷みの泉から祈りの声を~(1)

続いて2023年5月4日(木)18:00開演の、三善晃の作品によるコンサート。 混声合唱のための「地球へのバラード」より(1983) 女声合唱のための組曲「月夜三唱」(1965) 混声合唱と二台のピアノのための 歌集「田園に死す」(1984) 男声合唱のための「王孫…

東京六大学混声合唱連盟 第65回定期演奏会

2023年5月3日(水)16:00開演 青山学院大学グリーンハーモニー合唱団 The Shepherd's Carol (Bob Chilcott 作曲) Home Sweet Home (Henry BISHOP作曲 Bob Chilcott 編曲) Aka-Tonbo (山田耕筰 作曲 Bob Chilcott 編曲) The Isle Full OF Noises (Bob …