2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『縄文連禱』

もうだいぶ前になるが、東京混声合唱団が三善晃の曲によるコンサートを行って、その中で『縄文連禱』を演奏していた。そのコンサートは聴きには行けなかったが、最近になってたまたまその一部を耳にする機会があった。で、よく分かる演奏という感じがあり、…

『梟の駅長さん』

もともと詩を読まないので、宗左近の詩も特に読むことはない。『炎える母』を図書館で捲ってみたことはあるが、とても読み通せる気がしなかった。あるとき本屋で句集のようなものが安売りしていたので買ってみたが、これもあまり目を通さないままだ。 鈴木輝…

荻久保和明の『レクイエム』を聴いたことがあった

もう曖昧な印象しか残っていないのだけれど。 tooth-o.hatenablog.com この時に少しだけ触れた。 荻久保和明の曲をそれほど好んでは聴かないけれども、テーマの選び方などこの世に現にある地獄のようななところを直截に取り出す鋭さがある。 『レクイエム』…

『変化嘆詠』の楽譜を持ってるが

ずいぶん昔、歌うのはもちろん聴く当てさえない頃に買ったもので、それがいつだったかさえもう覚えていない。1990年代の後半あたりのはずではある。価格が450円、消費税の表記さえないので驚いて奥付を見ると、「初版発行 昭和53年2月25日」となっていた。 …

『ノエシス』

『ノエシス』の初演が1978年で、『クレーの絵本 第1集』と同年だったのだが、この2曲を並べて考えたことがなかった。そんなものだとも思うが。 この曲を収録したCDを持っているのだが、確認してみると20年前のものだった。武満徹の『トゥイル・バイ・トワイ…

『愛の歌』

愛という言葉を扱うような質でもないのに『黄色い鳥のいる風景』のところで持ち出したとき、考えていたのは「はるかな過去を忘れないこと」「いのちをかけて生きること」の言葉だった。格言のようなものは好まないので谷川俊太郎のこの詩句についてもそうい…

『クレーの絵本 第1集』

混声合唱とギターのための組曲『クレーの絵本 第1集』は1978年、早稲田大学混声合唱団により初演された。三善晃の合唱における代表作の一つであり、この後に『クレーの絵本 第2集』、『地球へのバラード』等、谷川俊太郎の詩による作品が続いていくという点…

『曼珠沙華』

『五つの唄』は聴いてみてしんどさを感じるところがある。重苦しい情感にずっと浸り続けるためだろうか。前回も引用した 少年時代からの多くの歳月に、白秋の韻律は私の情感を染め、それは影のように私から離れなかった。それを切り離すように――切り離すため…

『五つの唄』

この時、 tooth-o.hatenablog.com 『五つの唄』が出てこなかったのはどうにも恥ずかしい話だった。この曲の代表的な演奏はCD『三善晃女声合唱作品集 街路灯』のものと思うがこれがあまり好ましいと思えず、また男声合唱の出なので『紺屋のおろく』というと多…

『五つの詩曲』のこと

全曲は聴いたことがない。樹の会のCDには1、4、5曲目が入っていて、聴けているのはこれだけだ。 tooth-o.hatenablog.com を書く前に、女声合唱で何かないかと思ったときにふと「人の知ってる草の名は」の語呂が思い出されてああそうだと思ったのだった。さす…

「無言の風景」を読みながら

CD『三善晃|交響四部作』のブックレットに載せられた三善晃の小文「無言の風景」を読み返す。2009年のこの文章は三善晃の老境を窺わせ、またそこから見える三部作と四部作の姿が語られて、興味深くまた感動的なものになっている。 三部作自体が『レクイエム…

『三つの抒情』の男声編曲の話を見かけて

テーマ云々と言っても歌えれば何でもいいということもある、という話を書いた。男声合唱だと所かまわずいざたてウボイ的な戦いの歌を放歌したりするわけで、テーマもへったくれもない。愛唱するというのはそんなものではある。 『三つの抒情』の男声版は関谷…