2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『南海譜』

新実徳英は『白いうた 青いうた』から多数の編曲集を出していて、所属している男声合唱の団体でステージを持つことになった際に、それらの中からこの『南海譜』を歌うことになった。 『白いうた 青いうた』の中では『就職』『自転車でにげる』『われもこう』…

『虹とリンゴ』

『夏の散乱』の初演時に、三善晃が次のように書いている。 炎を、炎の内側から見なければならないとき、生死は灼熱のなかで一瞬交差し、この世では死ねない死と生きられない生となって離別する。宗さんは炎のなかから「明るい塋」を透視した。「現」だった。…

『風に寄せて』

尾形敏幸の『風に寄せて その一』は高校時代の思い出の曲で、今でも嫌いではないが、年数が経過する内、いつの間にか馴染んでいた『その二』や『その五』の方に今は好みが移ってきた。『その一』の明るさと翳りにはどうにも「高校生が好きになる感じの曲」と…

『鷗』の話(2)

tooth-o.hatenablog.com 前回『解釈』を補強するかも知れないと書いたが、重点が『解釈』からずれていく面がある。主眼は旧制三高のところにあり、施設の配置や朝の歌、夕べの歌のあたりが関連付けられるならそれなりに説得的になる一方、そうでなければ「そ…

『王孫不帰』のことを少し

法政大学アリオンコールのサイト( http://arionchor.com/history/cn47/pg801.html )には、『王孫不帰』について三善晃の書いた文章に加えて詩の解説が載せられている。「住の江」と「太郎」から浦島太郎が導き出されるのは調べてみると納得のいくところで…

『レクイエム』ピアノリダクション版について少し

tooth-o.hatenablog.com オーケストラとピアノでは音量から機能性から違うわけで、同じようには演奏できない。合唱の低音はオーケストラには埋もれてしまうかも知れないがピアノであればおおよそ聴かせることができるだろう。言葉も聞こえたらいいな、から普…

『三つの夜想』の詩について

『三つの夜想』の3篇の詩について少し見てみる。 『淡いものに』 「淡いもの」については、詩の終わりに現れる「ひらかれた目に 淡く/次の くもが」からまずは雲、そして冒頭に戻って「”真実”のような雲が」と繋がって、”真実”を指す。 「罪」という言葉が…

『鷗』の話(1)

清水敬一還暦記念演奏会の折に購入した『合唱指揮者という生き方』に、合唱をする人の間では木下牧子の曲などで知られる三好達治の詩『鷗』に触れているところがある。 学徒動員される直前の旧制高校生たちを前に、講演をする役が回ってきたことがあるそうで…

GIOVANNI閉店

常に懐具合と置き場所に悩まされることから、CDはあまり購入しないし、よってGIOVANNIもそれほど頻繁に利用もしなかった。とはいえ、特に邦人作品のCDの入手先は非常に限られており、いざ「あの曲が聴きたい」、「楽譜は持ってるけどどんな曲だろう」という…