2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

テーマ(音楽用語でない)について

『五つの願い』は古いしもういいんじゃないの、という話を前に書き、このごろまた書きかけたり、いや別に書かなくてもいいかと思ったりしていた。考えていたのはこの曲の時代性やテーマについてだった。 たとえば三善晃の『レクイエム』を「日本人の書いた最…

三善晃と五七五

tooth-o.hatenablog.com 昨年のこのコンサートは、選ばれた曲の圧倒的なボリュームと貧相なコンセプトによりバランスの悪い印象が残った。それで暇な時には遊びで、ではどんな方針でどんな曲を並べるか、と考えてみたりする。 tooth-o.hatenablog.com この時…

『祈り』

大分以前のこと、気の迷いと言っては何だが、全音の『三善晃歌曲集』を2,884円出して買ったのだった。増補改訂版第1擦とのことで、内容は次の通り。 聖三陵玻璃 四つの秋の歌 白く 高原断章 抒情小曲集 三つの沿海の歌 越える影に 祈り 五柳五酒 子供の歌他 …

『伝説』のこと

豊中混声合唱団の委嘱で、1994年に初演された曲。楽譜が1996年に出版されていて、出版されて間もない頃に購入したが、ほぼ眺めるだけだった。 あるとき東京混声合唱団が演奏するというので聴きに行ったが、マイクを通した語りの音が大きすぎ、合唱が非常に繊…

チェロ協奏曲

1996年に第2番として『谺つり星』が書かれたので「第1番」ということになった、1974年のチェロ協奏曲。つまらない話だが、三善晃の最高の作品、と訊かれたらこの曲を挙げると思う。その次は『プロターズ』。合唱で、と言われたら『狐のうた』にするだろう。 …

『だれもの探検』のこと

今回何度かCDを聴きながら楽譜を眺め、詩を読み返してみたが、この『だれもの探検』に対して実に容易ならざる曲という印象が強まってきた。5曲の組曲で楽譜によれば約13分、甍の演奏でも15分ほどの、決して大規模とは言えない曲だが、きちんと演奏するなら難…

『路標のうた』

「弧の墜つるところ」は1985年に書かれた文章で、『レクイエム』を起点と見て以後の創作を自ら振り返るといった内容になっている。『五つの詩』、『三つの夜想』の1985年、と思う。『田園に死す』がその前年の末。これらの曲を思うとき、1985年を三善晃の創…

『だれもの探検』について、とりあえず

と言いつつ、『遊星ひとつ』の話から。三善晃が亡くなってそれほど間がない頃に、作曲家らしい方が『遊星ひとつ』の演奏を聴いて「あの音域で音の配置じゃ汚くなるにきまってるだろ」というようなことを書いているのを目にしたことがあった。それが気になっ…

三善晃の男声合唱曲

自分自身男声合唱から始め、今も時々参加している中であえて露骨に言ってみるが、男声合唱団には独特の恥ずかしさや気持ち悪さがつきまとう、と感じることがある。歌えれば何でもいい的な能天気さ、極端な高音や低音への偏愛、バカっぽさへの同調圧力等々。 …

『第50回甍演奏会』

『だれもの探検』を聴くべきではないか、と思い立ち、CDを購入。「甍」は4つの男声合唱団の合同での演奏会で、この回は『路標のうた』、『だれもの探検』、『遊星ひとつ』と木島始の詩による曲をまとめて演奏するものすごいもの。他にも各1曲の個別演奏の後…

『レクイエム』の作曲まわりの話題

あくまで例えばの話として。 自分の身近な人が自殺を匂わせるようなことを言ったなら、慌てて何とか引き留めようとするだろう。が、それが5年ほども続いたなら、いい加減にしてくれ、と思うようになるかも知れない。さらに、20年続いたなら、そんな風に言い…

「おくれないやうにと」

以前、左川ちかの詩を愛読しているらしい方が『白く』の、特に『Finale』についてあまり納得しないと書いているのを目にしたことがあった。 tooth-o.hatenablog.com ここで書いたような話になるが、とりあえず「おくれないやうにと」がポイントになる。 一つ…

『白く』と『聖三陵玻璃』

三善晃の歌曲は早い時期に作られたものが多い。歌曲集のCDは瀬山詠子の2枚と藍川由美のものが出ていて、瀬山詠子は1991年の『越える影に』や子供のための歌なども演奏していて幅が広い。 『白く』と『聖三陵玻璃』は1962年の曲で、『聖三陵玻璃』が『白く』…

『見えない縁のうた』

『遊星ひとつ』は奇妙な構成の曲というか、『INITIAL CALL』の位置づけが微妙で、『だれの?』とつながっているのか別の曲なのか曖昧だったりするので全体で3.5曲、くらいの印象になっている。さらに『INITIAL CALL』が各曲の途中に音型としても歌詞としても…

『砂時計』

tooth-o.hatenablog.com の、続きのような。 今だと『日本合唱曲全集 嫁ぐ娘に』のブックレットで読めると思うが、『五つの童画』については 詩心をもっとひろやかに、人間と地球全体をくるむ愛を歌う というのがテーマだった。これについて、三善晃が 少し…

『ほら貝の笛』

部屋で探し物をしていたところ、思いがけないところから『五つの童画』の楽譜が出てきた。 三善晃のファン、ということで長らくやってきているのだが、よりにもよってというか『五つの童画』のことがいまだによく分からない。もちろん、延々と聴いてきた分だ…