2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『王子』(『縄文土偶』)

『縄文土偶』の楽譜には、初演時のプログラムの文章が載せられている。『縄文土偶』は特殊な成立をした曲だったため、『ふるさと』の初演と『王子』を合わせた『縄文土偶』としての初演があり、その両方について、序文の代わりに置かれている。 『ふるさと』…

今度のCANTUS ANIMAEのコンサートには行けそうにない

CANTUS ANIMAEが『歌集 田園に死す』を演奏するということで非常に興味はあるのだが。 『田園に死す』はピアノ2台に対して合唱は割合簡素で、いくらか歌曲に近い印象がある。ユニゾンや、和音を伸ばしている部分も多い。聴く分にはそれで合唱が物足りない訳…

『梟月図』のことを少し

鈴木輝昭は興味があると言えばある、くらいの関心の持ち方しかしていない作曲家で、合唱曲のCDを数枚持っているが器楽に関しては全く知らず、合唱曲でもよく聴くものは少なく、好きだと言えるのは『梟月図』と、あとは『女に』の第1集・第2集くらいだ。 『梟…

宗左近の詩による曲は多数あるが

詩句がかなり大胆にカット・編集されることが多い。 三善晃の『詩篇』には「はじめとおわりの・鏡の雲」という部分があり、次のように歌う。 啓ちゃんもとめて 花いちもんめ 匡ちゃんもとめて 花いちもんめ 哲ちゃんもとめて 花いちもんめ ゆりちゃんもとめ…

『鬼子の歌』(片山杜秀)の三善晃の章

雑誌連載を少し覗いたことのあった、片山杜秀の『鬼子の歌』が本にまとまったということで買ってみた。とはいえそれほど興味があるということでもなく、とりあえず最初の三善晃の章だけざっと眺めてみた。中心になるのはオペラ『遠い帆』の話で、ひと言にま…

『夜ノ祈リ』

死者の名で言葉を発する、というのは基本的に禁じ手というか、「生きとるやんけ」とか突っ込みが入るところだろう。三善晃はその決着のために12年くらいかけている。 『夜ノ祈リ』という詩が片仮名書きなのはこの点にまつわるトリックという面がある。 tooth…

『曙』(荻久保和明『縄文』)

荻久保和明はそれほど好きではないのだが、およそ組曲中に1か所くらい異常に素晴らしい部分があり、ほとんど退屈しながらその1か所のために価値のある曲となってしまうようなところがある。 『縄文』も、大方はくどさとこけおどし、というふうに聴いており、…

なにわコラリアーズのコンサートについてもう少し

tooth-o.hatenablog.com この演奏会で印象的だったのが『クレーの絵本 第2集』の4曲目『《まじめな顔つき》1939』と、『五つのルフラン』の『鉾をおさめて』だった。昔少しだけ練習したことがあったのだが、『鉾をおさめて』はリズムが相当難しい曲で苦労し…

男声版『三つの抒情』のこと

なにわコラリアーズのコンサートで福永陽一郎編曲の『三つの抒情』を聴いた。 tooth-o.hatenablog.com 全般に高声優位、かつかなり無反省に歌っている、と感じていた中で、『三つの抒情』だけは比較的落ち着いた音が鳴っていた。正直「何だお前らさんざん隙…

なにわコラリアーズ  オール三善晃コンサート

平成31年1月12日 紀尾井ホール 『三つの時刻』 『クレーの絵本 第2集』 『縄文土偶』 『五つのルフラン』 『遊星ひとつ』 『三つの抒情』(福永陽一郎編曲) 有名な男声合唱団であるなにわコラリアーズによる、三善晃の作品を集めた演奏会。各曲はそれほど長…