三善晃の歌曲は早い時期に作られたものが多い。歌曲集のCDは瀬山詠子の2枚と藍川由美のものが出ていて、瀬山詠子は1991年の『越える影に』や子供のための歌なども演奏していて幅が広い。
『白く』と『聖三陵玻璃』は1962年の曲で、『聖三陵玻璃』が『白く』の後に作る事になったために「まったく異なったものをこころがけた」と、楽譜のメモに書かれている。
CDで聴いていると案外それほどの隔たりを感じないのだが、そのことに微妙な居心地の悪さを感じることがある。おそらく『聖三陵玻璃』は望まれるほど簡素に歌われていないし、『白く』の劇性はあまり理解されていないのかも知れない。
