『虹とリンゴ』

 

『夏の散乱』の初演時に、三善晃が次のように書いている。

炎を、炎の内側から見なければならないとき、生死は灼熱のなかで一瞬交差し、この世では死ねない死と生きられない生となって離別する。宗さんは炎のなかから「明るい塋」を透視した。「現」だった。

(<あの夏は、まだ>)

この構図が『虹とリンゴ』で描かれているのではないかと思う。

「炎を、炎の内側から」見た、そして生死が「交差し」「離別する」その瞬間が、『原初』の光景だろう。『夏』から見えるのは「現」すなわち「塋」の、明るさであり、『シャボン玉』はその明るい「現」が「私の塋」であることを語っている。