『レクイエム』ピアノリダクション版について少し

 

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オーケストラとピアノでは音量から機能性から違うわけで、同じようには演奏できない。合唱の低音はオーケストラには埋もれてしまうかも知れないがピアノであればおおよそ聴かせることができるだろう。言葉も聞こえたらいいな、から普通に聞こえる、になる。合唱のパートはオーケストラの中で声と言葉をどの程度聴かせるかを考慮して書かれていただろうが、一方ピアノ版で合唱部分を大きく変更することはできなかったはずで、元のオーケストラと合唱の演奏に慣れたところではピアノ版は合唱がほとんど裸で聞こえることになり、違和感が生じるのは仕方のないことだろう。

その上でどのように演奏するか、と考えてみる。トウキョウ・カンタートのように合唱ばかりが聞こえると気合しかない形の不明瞭な声の帯になってしまう。音楽として意味をなすためにはピアノ側が相当強力でなければならないだろう。また、言葉が聞こえるようになるからには、その語り方も大事になる。むしろオーケストラとは単に別物と言えるくらいに繊細さが求められるようになるのかも知れない。