『変化嘆詠』の楽譜を持ってるが

ずいぶん昔、歌うのはもちろん聴く当てさえない頃に買ったもので、それがいつだったかさえもう覚えていない。1990年代の後半あたりのはずではある。価格が450円、消費税の表記さえないので驚いて奥付を見ると、「初版発行 昭和53年2月25日」となっていた。

知らなかったわけではないが、改めて楽譜を見てみるとこれは本当に歌えるのかと思う物凄さだ。三連符、五連符にグリッサンドが差しはさまれたり、四分音が度々現れたり。尺八の間の取り方のために4つの記号を用意してるのを見てさすがにちょっと呆れたが、リズムから音高からひたすら細かい。

東京混声合唱団の演奏が手に入れやすくなってはいるが、古い演奏で精度は足りないのだろう。聴いていてよく分からないところで楽譜上で興味深かったのが「南池の鯉魚はつめたい身やな」あたり。音を重ねながら、あるいは旋律から分散してクラスター的な音になるらしく、それが冷たさの表現になるはず。丁寧に音を追うとそうした表現が色々あるのだろう。