『やわらかいいのち三章』は東京混声合唱団の演奏によるCD
『三善晃・谷川俊太郎 作品集 木とともに 人とともに』 - tooth-o’s diary
があったが、あまり聴かずに来ていた。また CANTUS ANIMAE の演奏会
CANTUS ANIMAE 第21回演奏会 - tooth-o’s diary
を聴きに行き、21世紀に入ってからの作品らしい音の切り詰め方などを思ったものの、その後もあまり関心が高まらなかった。この詩が誰から誰に向けて語られた誰のための詩なのか、自分の中で定まらず、そのためにこの曲をどう思えば良いのかと戸惑っていた。
Combinir di Corista の演奏は優れたもので、この曲に対して得心を与えてくれるものでもあった。声の安定が和音の安定につながり、響きの美しさの先に、詩に語られる人の姿が現れてくるという風に感じられる。このような表現では演奏者の訴えかけが過剰にならないことが重要だが、合唱、ピアノ共にバランスの良い演奏をしている。
三善晃の合唱曲は案外、勢いや熱さ、言葉の強さなどで演奏が成立するものが多いが、『やわらかいいのち三章』はそのようには演奏できないのではないだろうか。Combinir di Corista はそのような曲に対し、適切な距離感を捉えて演奏していると思う。