トウキョウ・カンタートでは多少珍しいCDを売っていることがあり、今回はアルノルト・シェーンベルク合唱団によるマックス・レーガーのCDを購入した。『三つのモテット』が収録されていて、以前に触れたことがある曲なので気になったのだった。『Mein Odem ist schwach』はその第1曲で、ヨブ記からの言葉を歌詞としているらしい。4つの部分から成り、第3の部分がホモフォニーのコラール、他はポリフォニックな音楽で、第1の部分は死に瀕した場面の非常に遅い音楽、第4の部分は二重フーガになっている。
この第4の部分の歌詞は
Aber ich weiß, daß mein Erlöser lebet und er wird mich hernach aus der Erde aufwecken.
となっており、大体
しかし、私は私の救い主が生きていることを知っています、そして彼はその後地から私を目覚めさせるでしょう。
というような訳になる。
先に書いたように、この部分は二重フーガで二つの主題がある。第一主題は四分音符、八分音符、八分音符のリズムを主体とした音の跳躍を含むテーマであり、第二主題は八分音符による半音ずつの長い上行音型となっている。そしてその他の部分は八分音符と十六分音符による細かく表情のついた音が流れていく。二つのテーマは相対的に長い音符でできており、全体の中で特徴が浮き上がるようになっている。
この二つのテーマだが、第一主題はラッパのイメージ、第二主題は復活と天に上る階段、ではないかと思う。この曲は、死の際、墓の手前から始り、最後の審判、ラッパが鳴り響き、地から蘇り、天に迎えられる場面で終わる、という風になっているのではないだろうか。