『王孫不帰』の擬音など

『王孫不帰』の詩の最後の2連については、三善晃の言も他の解説もちょっと変な気がしている。
「丁東」「東東」は物を打つ音、というのであれば、これは木を樵る音ではないか、と思う。「きりはたり」が機織りの音なのはいいとして、「ちやう」は和鋏の音ではないか。
「丁」に若い男の意味を読むとすると、「耳をかせ」とは、「あの木を樵る音が息子を呼んでいるように聞こえないか」といった意味合いだろうか。
また、機織りでは杼という道具を使う。動画などで見れば分かるが左右に動かして横糸を通していくもの。シャトルとも言って、スペースシャトルの由来になっているように、行って戻ってくるものの例えに使われる。つまり、「行った子が帰ってくる」という願いの比喩に感じられないか、ということだろう。