『夕暮』(『地球へのバラード』)

『鳥』の最後の音が、なんだかひたすらに長いな、と思っていた。F−durの和音が譜面上は10拍で、フェルマータがついている。
『夕暮』の冒頭2小節はシャープが4個で、『鳥』の調と比べると半音低い。半音ずれた調というのは非常に遠い関係で、hの音で入るテノールの最初のハミングも前曲の最後の和音からは遠い。一方『鳥』の旋律の最後の音はcで、わずか半音、ともいえる。

それほど確信をもって言うのでもないけれど。
多分、『鳥』の最後の和音は「空はただいつまでもひろがっているだけだ」の音による表現で、『夕暮』の調もまた移り変わった空の色に対応している。そして、『鳥』で「私」は放棄されるが、なくなったはずの「私」はこの音の、つまりは空の色の変化に対して「誰があかりを消すのだろう」と、つぶやいてしまうのではないか。