『木とともに 人とともに』

この曲を最初に聴いたときは、何となく印象の薄い曲だと思っていた。が、根拠があるわけではないが、むしろこの曲は印象を後に残さないように作られているのではないか、と思うようになった。
この曲の音には、常に膨大な留保がついている。単純な話にするなら、シンプルな三和音をあからさまに聴かせる場面がない。それは、「みんなで歌う」ということにつきまとう留保だろう。どんな集団にも内部の温度差があるし、合唱祭なんかに行けば一緒に歌いたくない団体とかもあったりするだろう。そんなところに屈託を抱えつつ、それでも一緒に歌おう、というのがこの曲を歌うことだと思う。