合唱団お江戸コラリアーず 第18回演奏会

令和元年8月17日 東京芸術劇場コンサートホール

昨年に続いてお江戸コラリアーずの演奏会を聴きに行ったが、それは別に前回の演奏会でファンになったということでもなく、『王孫不帰』が目当てではあったが昨年の『縄文土偶』と比べるとレア感は少なくこれが決め手という訳でもなかった。敢えて言うならB席のチケットが1,000円と安かったことと、何も変わったことがなく夏が終わってしまいそうだったというあたりかも知れない。

第1ステージのシューマンは安定した演奏。アラカルトステージは選曲の視野の広さが感じられたのは良かったが、求心力の弱いステージが最後に来ると少し物足りなさを感じる。

ともあれ、第2ステージと第3ステージが興味の中心ではあった。『王孫不帰』は以前に何度か聴いたことがあるが、いずれも気合以外に見るべきところのないぼんやりとした演奏だった。お江戸コラリアーずの演奏はどんな音を聴かせたいのかがいくらか分かる感じがあり、良い演奏だったと思う。

第3ステージの『男声合唱のためのコンポジション』は初めて聴いた。王孫不帰と並べられるとやはり間宮の方がのびやかに歌えるところがあり、その生き生きとした歌いぶりが魅力だった。一方で、「コンポジション」の語義からはやや離れた場面場面の連続という印象もあった。

『王孫不帰』についてもう少し触れると、「いくらか分かる感じ」と書いたくらいの演奏が「良い演奏」である、というのが現状かな、ということを思った。三善晃はこの曲を聴くのに難しい曲と思っている様子がないようなので、もっと明快な演奏があり得るのではないだろうか。

また、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの各部分がヘテロフォニー、ポリフォニー、ホモフォニーとして説明されることがあるが、Ⅱの部分をポリフォニーとして聴ける演奏の心当たりがなく、それは今回の演奏も同様だった。