楽譜の記号について

三善晃の曲は音量や表情などの指定が細かくて、演奏者は必死になって再現したりそうでもなかったりする。
時には一つの記号が周辺の表情をすっかり決定してしまうこともある。『地球へのピクニック』の「ここで一緒に坐つてしばらくの間/涼しい風に吹かれよう」のところのブレスの指定などは演奏者にこの部分のあるべき形を明確に想像させる。
『原初』(『虹とリンゴ』)の、楽譜では9ページ、「光の花が」の部分。「光の」のmfから「花が」のmpへの移行、何を思ったところで書いてある通りにするしかない、それ以上工夫のしようもないところだが、その結果はあまりにも鮮やかだ。