室内合唱団Vox Gaudiosa 第24回定期演奏会

2021年10月23日 第一生命ホール

  • ミクローシュ・コチャール追悼ステージ~ハンガリーの作品を集めて~
  • 『秋の風景』(Veljo Tormis)
  • 『2つの秋田民謡』(松下耕
  • 『地球へのバラード』(三善晃

コンサートどころか都内に入ること自体いつ以来か、と思いながら聴きに行った。どのステージもメリハリの強いくっきりした演奏で、良いものを聴いた満足感がある。

第1ステージ、上記のタイトルで次の曲が演奏された。

  • AVE MARIA in D” (Orban Gyorgy)
  • ”Liliom-dal”(Kocsar Miklos)
  • ”MEGIS MONDOM DAMION!”(Kocsar Miklos)
  • ”Este”(Kodaly Zoltan)

コチャールは1曲だけ歌ったことがあるが、労多くして実りの少ない印象であまり興味を持たずに来た。が、今回の演奏は魅力的で、少し興味が湧いてきた。

第2ステージのトルミスも、男声合唱のCDを所持しているが、あまり合唱の魅力、という気がしないためそれほど好んではいなかったが、もう少し聴いてみたくなった。

第3ステージの秋田民謡は最初に作曲者・指揮者である松下耕トークが入った。衣装も工夫し、振りも付けての演奏。振りは少しニヤリとしてしまうような滑稽味のあるものだった。

先にアンコールに触れるが、武満徹『翼』とコダーイ ”Veni, veni Emmanuel” の2曲。『翼』は表情が豊かで自由な演奏、コダーイは安定感のある歌いぶりだった。

で、正直に言えば第4ステージだけを目当てにチケットを購入したのだった。『地球へのバラード』が聴けるのは、久しぶりのコンサートとして望ましい、という気持ちがあった。

特に各曲について触れる。『私が歌う理由』、中間部の激しさが良かった。最後の和音がどんな演奏でも素晴らしい音になるのがいつも不思議に感じる。『沈黙の名』、積極的なテンポを作ろうとする指揮者と粘るソプラノにやや齟齬があったか。また、「ゆゆゆ」のパートの表現はやや薄かった。テンポの遅くなる部分を生き生きと表現できるのは実力を感じる。声の負担が大きかったか、『鳥』のあたりで各パートがやや整わない感じになった。「鳥は死を名づけない/鳥はただ動かなくなるだけだ」のテノールが美しかった。最後の和音は長さをいい加減にする演奏が多く、今回も同様。本来相当長く、その長さには意味がある、と思うのだが。『夕暮』は合唱団の表現力が発揮された演奏で、遅いテンポでも間延びすることがない。最後の和音でソプラノを突出させないのも巧妙。『地球へのピクニック』、バランスの取れた中で表現の意図が明確で、魅力的な演奏だった。特に「ここで熱いお茶を飲もう」からの部分が良かった。