なにわコラリアーズのコンサートについてもう少し

 

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 この演奏会で印象的だったのが『クレーの絵本 第2集』の4曲目『《まじめな顔つき》1939』と、『五つのルフラン』の『鉾をおさめて』だった。昔少しだけ練習したことがあったのだが、『鉾をおさめて』はリズムが相当難しい曲で苦労した。なにわコラリアーズはこの曲を自然に、力強く表現しており、当日の曲目でも一番良い演奏だったと思う。

『まじめな顔つき』は、詩も旋律も皮肉っぽい印象しかなかった曲だが、今回思いがけず、下の3声が非常に優しく温かい音を鳴らしていることに気付かされた。この曲の可能性として、こうした二面性の表現があることを示していた。組曲の全体的なテーマを考えるとき、このことは重い意味があるように感じる。

 

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この曲の優しさは、「まじめなひと」として生きるしかない、そのような生に向けられる。そうした生の時間が、最終曲『死と炎』で「たずさえてゆくことができない」ものとして歌われるのだろう。