『手紙』(松下耕『鳥のために』)

楽譜を見ていて気づいたが、2分割のリズムと3分割のリズムがこちらと向こう(歌い手にとっては手紙を書く側が「こちら」)の表現になっている。この対応がかなり厳格で、「あなたの声が」の三連符から始まって中間部から後半の「何もいうことなしと」の表現に現れる。意味的には「言葉はあなたの耳の骨に住みついて」のところがポイントで、三連符で表される「向こう」の場面に「こちら」の言葉が「住みつ」く、ということが八分音符によって表現され、以降の三連符、三連符、八分音符のリズムパターンにつながる。