『遊星ひとつ』

三善晃男声合唱曲の中では、分かりやすい楽しさのある曲。つまりバカになって叫べるってことだけど。その一方、四手ピアノということで取り上げるには結構ハードルが高い。
もともと男声合唱団は多田武彦のおかげもあって、最小限の活動規模で成立しうる。けれどもそういう団体が優秀なピアニスト2人に協力してもらうのは想像するにかなり大変そうで、指導者の先生なり団自体にそれなりのつてが必要なはず。
必然と思うけれども取り上げるのはそれなりに名のある団体やよほど意識が高く組織のイメージが明確な団体になり、さもないと、ということでナントカ会男声、みたいな寄せ集めによるなめた演奏が跋扈することになるわけだ。
藤井宏樹による抜粋を聴いて、変拍子の歌いきれてない感じにややがっかりした。久しぶりに取り出した『地球の詩』のCD(アザラシのやつ)で栗友会の演奏も聴いてみたが、リズムの納得感は上だった。旋律の音程感がなぜか感じられず、歌っていた人はあまり何歌ってるか分かってなかったんじゃないかと思うが、当時の栗山文昭はそういう合唱団を自分の曲の把握に従えてしまう指揮者だったように思う。