『虹とリンゴ』の「虹」

歌われる詩の中で「虹」という言葉は、『原初』の「影の虹」と出てくるだけだが、三善晃はシャボン玉に虹の色を見ていて、それでこの曲のタイトルに虹という言葉が入っているのだろう。
アンジェリカのCD「Voicd of Angel vol.3」に、初演時のプログラムノートから三善の文章が転載されているが、そこには「おお季節 その季節に虹が懸かっている」と書かれている。(『虹とリンゴ』の詩は詩集『おお季節』からとられている)
「おお季節」は、「少しも答えはしない」秋に向けて言われているのだろう。宗左近の「本当の死」は燃えた世界の中にあって、普通に続いている世界は「静かな嘘」であり、宗左近の朝焼けや秋は「本当の死」の先にしかなく、虹はきっとそこに懸かっている。