『三つの夜想』を

『三つの抒情』と通して聴くと、『ある肖像』の「自分のかげだけしか」のところが気になるものだと思う。この部分が「夕ぐれが夜に」と、また「おまへのことで」と似ているのにはすぐ気づくけれども、その意味はなにか、と考えたことはあまりなかった。
あるとき考えてみて、単純に、『三つの抒情』という曲が「自分のかげだけしか愛さな」い姿だ、ということでいいのではないかと思うようになった。そして、三善はそれに「飽きている」、それがこの曲の意味なのではないか。