つたったったたん

『手紙』(『鳥のために』の1曲目)の「唇は」と歌うところで出てくるこのリズムがどうも唐突に思えて、これは何だろう、と楽譜をめくってみた。『アンナという鳥』の「白樺の」、「あしたから」、「落ちてきて」のところ、さらに『木』の「鉈は振り下ろされ」などにこのリズムパターンが現れる。
直接には、「唇は」でのこのパターンは「片鱗」の意味の表現、『アンナという鳥』の「白樺の」は「二枝 三枝」の視覚的なイメージだろうが、「あしたから」にはそのような具体的な結びつきはないようだ。またこの二つが「落ちてきて」への伏線という面はある。「二枝 三枝先」は「空き地」、つまりさえぎるものがないこと、また「あしたから」という「あした」がないこと、によって鳥が撃ち落とされる場面につながる。『木』に至って、今度は切断のイメージとして強調される。
『木』の惨いイメージによってこのパターンの印象が確定するだろうと思うが、以前に現れた場面の意味はこれによって変わる。「片鱗」が「首なし鶏」と結びつけられてしまう。このような結びつきを読み出すのはどのような視点によるのか、興味深い。