『その日−August 6−』

この曲は今年何度も演奏されたようなのだが、聴く機会を逃し続けた。
三善晃作品展の二日目も逃した機会の内の一回だった。が、作品展のプログラムは2日分の曲が記載され、プログラム・ノートを読むことはできた。
この曲に関しては「極度に切り詰めた楽句によって」と書き始められているが、ある程度楽譜を見慣れていればそれは分かる、というあたりで、作曲家にこれを書かせてしまうのは演奏者の敗北ではないかと少し思うが歌い手として半分死んでいるような身としては文句は言えない。
楽譜は出版から間もない頃に購入した。軽く音をなぞってみた程度だが、動かしようのないものの前で立ちすくむような不思議な感じがある。この感じは『或る死に』(『三つの夜想』)と多少通じるものがあるように思う。