『鳥のうた』

林光の『鳥のうた』(「混声合唱、ピアノ、1対の笛のための」)は、抜粋で演奏したことがあるのだが、今年の混声六連で初めて全曲の演奏を聴くことができた。

楽譜の前書きによれば、

『鳥のうた』(1982)は、前作『木のうた』(1980)と同じく、ジェルジ・レホツキーの絵、木島始の詩による絵本に触発されて、できた。ただし『木のうた』は絵本につけられた詩を、そのまま作曲したが、『鳥のうた』は、作曲のために新しく書かれた詩によっている。

まずは絵本の『木のうた』『鳥のうた』があり、そこから『木のうた』が作曲され、『鳥のうた』が続いた、ということらしい。

絵本の方は、以前に図書館で見かけたことがある。記憶はすでにあいまいだが、2冊は非常に似ていて、詩の最後の一節は同じになっていた。『鳥のうた』が絵本の詩で作曲されていたなら、これも『木のうた』とそっくりの曲になったかも知れない。

実際には新しい詩による曲となった。多数の小曲からなる点で類似していながらも、『鳥のうた』の求心的なテーマ性やストーリーは『木のうた』とは大きく異なっている。一曲一曲は簡素ながら、全体を通じての大きな感動につながっている。